急性腰痛の当院での治療について
まずは、Red-Flag(悪性腫瘍やその他鍼治療が適さないものが原因)なのか、鍼治療の対象なのかを判断する必要があります。
上記フローチャートに従い問診・理学検査を勧め、鍼の対象と判断した上での話として列挙していきます。
急性腰痛となると、
症状としては、「椎間関節障害」と「仙腸関節障害」を疑い、
問診・所見聴取を勧めて行きます。(もちろんその2つ以外もありますが、多いのはこの2つな印象)
「問診」と「ワンフィンガーテスト」と「圧痛」である程度部位を絞り込みます。
問診では、
就眠時の肢位によっての痛みで、
背臥位で寝ていて疼痛を訴える場合は椎間関節障害
側臥位で寝ていて疼痛を訴える場合は仙腸関節障害
と推測が出来ます。
また仙腸関節障害では、ソファーで座っていることが多く、痛みが生じると言うのもポイントになります。
「ワンフィンガーテスト」では、
椎間関節障害では腰椎棘突起直側(障害椎間高位)を指し、
仙腸関節障害ではPSIS周囲を指すことが多いです。
といってもそんなにわかりやすくいかないことも多々あります。
「圧痛」では、
おおよそワンフィンガーテストで指示した部位に圧痛があり、
そこに障害部位があると考えています。
ワンフィンガーテストとは?
腰痛の診断に用いられる検査法の1つ。患者さんに痛みのある部位を指で示してもらい、その部位を圧迫することで痛みが増強するかどうかを確認します。
椎間関節であれば、棘突起直側、
仙腸関節であれば、PSIS尾側(後仙腸靭帯)の辺り。
(仙腸関節障害を疑う際には、側臥位で下肢外転挙上も確認します(痛みの程度次第で)
この動作で痛みがあれば仙腸関節障害(上殿皮神経の症状の事も)と判断しております。
痛みの原因がある程度絞れたら、
痛みのある側が上の側臥位になってもらい治療に入っていきます。
治療に関しては、圧痛部位へのアプローチがメインになりますが、
椎間関節障害であれば、障害高位(椎間関節近傍)の多裂筋への単刺
(どこが痛い部分かはエコーで詳細に観察していきます。)
仙腸関節障害であれば、PSIS尾側部(後仙腸靭帯近傍)の多裂筋へ単刺
特に椎間関節障害を起こすような腰をそって痛みがでるタイプの腰痛は
股関節の屈曲拘縮(伸展制限)を生じている場合が多いので、
上記の多裂筋と合わせて、大腿筋膜張筋、中殿筋の前部線維にも刺鍼を行います。
さらに、痛みの程度でパイオネックス(シールタイプの鍼)を用いる事もあります。
症状改善の程度にもよりますが、2-3回位で痛みを改善させるイメージで、
初回は時間をかけず、必要最低限にした方が患者さんにも負担が少ないので良いと思います。
当院での急性腰痛に対する介入は上記の様に行っております。
(内容が少し専門的でわかりにくい部分もあるかと思いますが、適宜イラスト等追記してわかりやすくいていきたいと思います。)