今日は、先日「甘味」の話の続きです。
甘味を取り過ぎると、「湿」を生み、「脾」の運化を障害するというお話でした。
まずは「脾」とは何なのか?
を書いていきたいと思います。
東洋医学で言う、「脾」には、
運化作用があります。
運化の「運」は転運輸送、
「化」は消化吸収を意味しております。
飲食によって得られた水穀(水や食物)を胃で消化し、消化された水穀の中から、小腸が分別する有益な「精」になる物質があり、
それを「水穀の精微」と呼びます。
その水穀の精微を吸収し、全身に輸送する働きが、
脾の運化作用です。
運化作用の中にも、「水液運化」というものがあり、
脾はとくに水液との関りが強く、水穀から有益な水液を吸収して、津液(水分)を生成する働きがあります。
生成した津液を肺(上焦)に運び、肺の作用を用いて、全身へ散布するように働いています。
また、水液が停滞すると、脾自体の作用も衰退してしまいます。
また別機会で書きたいと思いますが、
「肺や心」という臓器は運搬力(推動力)に優れているので、
消化吸収したものを全身に輸送するには脾の運化作用だけでなく、
肺や心の推動力を借りる必要があります。
そのためにも「脾」は、水穀の精微から必要な栄養分を取り出した後、
心や肺といった上焦へ栄養を運ぶ「昇清作用(持ち上げ)」という重要な働きをしなくてはなりません。
(ちなみに、津液(水分)の場合は全て「肺」に運ばれます。栄養は心に。)
この辺りの「運化作用」「昇清作用(持ち上げ)」が、
「湿」によって障害されます。
先ほど、水液が停滞すると、脾自体の作用も衰退してしまう、
と述べましたが、
甘味は湿を多く生み出します。
「湿」には重さがあるため、
「昇清作用(持ち上げ)」が機能しなくなり、
どんどん津液が下に溜まっていきます。
このようにして、しまいには「運化作用」にも支障をきたし、
お腹を下してしまうような状態になります。
「湿」は六淫(りくいん)と呼ばれる、
人体を障害する6種類の外邪(外的な病因)に含まれるため、
消化器症状だけでなく、
身体や四肢の重だるさ、関節の鈍痛、下肢の浮腫みの原因となります。
大の甘党の皆さん、
思い当たることはございませんか?
東洋医学って面白いですよね!
そうなると、次は、
じゃあその「湿邪」をどう改善するのか?
ですよね。
次回は、その辺を考察していきたいと思います。
Higuchi
参考引用文献:関口善太著 「やさしい中医学入門」東洋医学出版