お久しぶりに、身体の機能についてのお話です。
今回は「循環器系」について。
循環器系は、心臓と血管で構成されており、全身に血液を循環させる働きを担います。
まずは心臓について。
血液を送り出すポンプの役割で、心拍数は心臓が1分間に拍動する回数の事です。
成人の安静時の心拍数は、1分間に60-70回。
1回の拍動で送り出す血液量は約60-70mlといわれ、
1分間には(安静時多く見て)70ml×70回で、
約5l全身に送り出しています。
特に、運動を行ったりするとエネルギー代謝が高まり、酸素の需要が多くなります。
そのため心臓は酸素を多く含んだ血液を全身に送り出すため、
最高で1分当たり、160-200回程度、心拍数を増加させます。
次に血管について。
血管は血液を全身に運ぶ輸送網で、心臓から血液を送り出す血管を動脈と、心臓に血液を送る血管を静脈があります。
血液の循環は肺以外の全身に循環させる「体循環」と、
肺を通して循環させる「肺循環」に区分されます。
体循環では、左心室に始まる大動脈から枝分かれした動脈が、呼吸器系からとりこまれた酸素を多く含む動脈血を全身に運びます。
動脈(大動脈→中動脈→小動脈→細動脈、と細く薄くなる)は枝分かれして、やがて毛細血管となり、各器官・各組織を巡って酸素と二酸化炭素のガス交換を行います。
その後、毛細血管は再合流して二酸化炭素を多く含む静脈血が静脈を通って心臓に戻ります。
肺循環では、肺動脈を通って静脈血が肺に運ばれ、肺胞で二酸化炭素と酸素のガス交換を行うことで、動脈血となって、肺静脈を通って心臓に戻ります。
二酸化炭素は呼吸器系によって体外に排出されます。
このような働きを考えると、いかに呼吸が体にとって大事なものなのか、よくわかります。
だって息を吐かないことには、全身から回収してきた二酸化炭素が排出されない感じしませんか?
実際には呼吸が止まっているわけではないので、排出はされているとは思いますが、吸気・呼気ともにしっかりと行える、姿勢、ストレス環境を整える必要が大事ですね。
また息を吸うことによってえた酸素は、赤血球に含まれるヘモグロビンと結合し、動脈を通って、末梢の組織まで運ばれる。
このヘモグロビンは非常に優れモノで、酸素が豊富な所では酸素と結合し、乏しいところでは酸素を放出する性質を持つ。
この性質を利用して、酸素は肺胞でヘモグロビンと結合して、運ばれた先々の酸素が乏しい組織で酸素を放出します。
すごい、よくできてますよね。
また、血液循環によって運ばれているものは、酸素以外にホルモンがあります。
ホルモンとは、ホメオスタシス(恒常性)、成長・発達、生殖、エネルギー代謝、行動を調整する化学物質で、人が活動していく上で欠かせないものです。
ホルモンに関してはまた別の機会に。
「酸素を吸って、二酸化炭素を吐く」
ということはおそらく小学生でもわかることだと思いますが、
その酸素が、血液を介して(ヘモグロビンと結合して)全身めぐり栄養し、
その後、老廃物質や二酸化炭素を静脈血に乗せて、心臓へ回収し、二酸化炭素を多く含んだ静脈血を肺に移し、肺胞によって、二酸化炭素を回収。
二酸化炭素を回収された静脈血は、呼吸によってえた酸素をヘモグロビンに結合させて、動脈血として、また全身をめぐっていく。(一連の血液中の二酸化炭素・酸素の入れ替えを「ガス交換」という)
なんとも素晴らしいシステムです。
東洋医学では呼吸によって、宗気という気のエネルギーを得ますが、
まさにこの循環器ー呼吸器の働きにより得られるものですね。
この現代社会は「手元(スマホ・PC)」と向き合い、
身体を丸くして呼吸が浅くなるようなことが多いですが、
われわれ、鍼灸師が出来ることは、大きく息を吸える、姿勢を作ること。
またはリラックスしてもらい、呼吸を深くしてもらうことだと思います。
こんな、世の中だからこそ、昔から変わらない、鍼灸治療をためしてみてはいかがでしょうか。
Higuchi