整形外科での勤務をして早、7年目に入りました。
勤務している都立大整形外科クリニックには肩専門医のご高名な先生がおられるので、肩を脱臼した経験があり頻回に繰り返す様な患者様が多く来院されます。
何を隠そう私も野球部に所属していた高校時代(今から約20年前)に、バットスイングのフォロースルー(写真のような華麗なフォローを意識)の際に、初めての脱臼をいたしました。(案外同じ状況で脱臼する方いるみたいですよ…)
実際の自分の感覚としては、肩がゴリッと鳴ってずれるような感覚で同時に激痛が生じました。その場にうずくまり、痛みで、もぞもぞしながら10秒「あ~これはなんかやばいな…救急車呼んでもらおうかな…」と思っていました。
10秒後、肩のずれ感がなくなり痛みが落ち着いたため、起き上がり肩を回してみると、肩は回るし、先ほどの激痛はうその様に軽減し、少し痛みはあるけど全然練習できるやん!と思い、そのまま練習再開。
今考えると、もともと関節の弛緩性といって生まれ持っての関節の軟らかさがあったため、幸いにして自然に脱臼した肩が元の位置に戻ったのです。ただ肩周囲には関節唇や関節上腕靱帯といった肩関節が外れないように補強する組織があり、その部分は間違いなく損傷していたのです。
おかげ様で、翌日は脱臼後の症状改善がうその様に痛みが出てきて脈打つようにズキズキ痛かったのを覚えております(笑)
このエピソードを聞いて、どう思われますか?
正直、脱臼後の処置としては、外れたあとすぐ練習を中断して、きちんと整形外科受診し、外旋位固定という正しい処置を受けて入ればその後の人生は変わっていたのかもしれません。
題名にもあるように、その後私の肩は今も脱臼を繰り返しております。
初回脱臼以降、きちんと数えたわけではないですが、50回以上は「ゴリッ!」としたずれ感が生じております。
今思えば、高校時代にすぐ手術をしていればまた違ったのかもしれませんが幸いにして、高校、大学、社会人でのクラブチームと自分の納得できる競技人生を送れたので後悔はありません。
ただ、それは現時点での自分の感想で、実際2.3年前には、ランニング中にも肩がずれるような感じが生じたり、寝ている際に寝返りで外れたり(就寝中にズレる感じはがでることは今でもたまにあります。)ということが月3.4回出ている時期がありました。
ちなみにズレたときは激痛です。時間差でズキズキとした痛みが出ます。
実際にMRIもCT画像も撮影したことがあります。
(自分も一応医療従事者ですので自分の画像をまとめて勉強しておりました(笑))
当然勤務先の肩の専門医の先生からは手術を勧められ、家族にも勧められたこともあります。
今後自分自身の肩がもしかするとどんどん悪い方に行って、人工骨を入れなければいけなくなるかもしれません。
もし仮に自分と同じ状況の患者様の相談に乗ることになったとしたら、僕はまず手術を進めます。
1歳11か月の娘が「肩車して~」となくほどせがまれたら…
実際、肩車の姿勢はよっぽど大人しく上に乗っていてくれないと不意な動作で間違いなく外れます(笑)
外れると娘は約170㎝から地面へ真っ逆さま。
お父さんは考えます。
娘を肩車してあげるためにはどうするのか?
肩車しない!
いやいや、肩車はしてあげたい!
でも娘は落とせない。
初回の脱臼してからはや20年。
いままでインナーを強化したり、腕立てをしたり、いろいろ試しましたが、やはり外れ無い状態にはできていないです。
それどころかやはり中途半端にアウターを鍛えに行くと逆に外れやすい感じがします。
そこで前回ブログの続きになりますが、ある鍼灸師の方に右肩に鍼をしていただきました。8番鍼(結構太い鍼)で痛みがある肩前面に結構な数。
自分自身今までのイメージ、「太い鍼=痛い・重だるさが残り不快感」なんて考えておりましたが、たかだた20本程度のこの鍼。
20年来のこの肩の不安定感、時に出ていた痛みがうその様に軽減しました。
実際この時は時間がなく、後ろの筋肉にはアプローチをしてもらいませんでしたが、やってもらった部分は治療中~2週間くらいすっごく心地よかったです。
やはり人間の身体、傷んだ部分を守るため周囲のMuscle-strain(筋肉の凝り・硬さ)が生じます。これって安定性を低下させるから緩めるなと言われてきましたが、実際にはその凝りは取ってあげるべきです。
鍼灸師自身が鍼治療に対して、勝手なイメージをもって細い鍼を使って少ない刺激で…ってな形で改善できる症状を改善できなくしているとこの時感じました。
ただやはり刺激が強い治療を行う際には、反動もでます。
実際、治療後内出血で青あざが2週間程度残り少し重だるさもありました。
でもでも!不安感もなければ、痛みも出ず。
これは私自身にしてみたらすごいことです。
鍼灸師になって約10年。
恥ずかしながら、初めて「鍼ってすごいな~!」と感じました。(今更ですが…笑)
この凝りに特化した鍼治療が自分が求めていたものだし、今後患者の皆さんに提供していかなければならない治療だと確信しました。
今回脱臼に関しての内容ですが、他の疾患に関しても同様の考えから行っていくと非常に治療がシンプルになります。
また当然部位によってはリスクある部位もありますので、そのような部分は当院の元々の強みである超音波エコーを用いた鍼を組み合わせれば、鬼に金棒ですね。
このまま同様のアプローチを続けていけば手術は無くていいのでは…
でもどうにもならない時にはやはり手術も視野に入れとかないといけないと思います。いけるとこまで行こう!
今後もこの脱臼肩の状態はちょくちょく記載していこうと思います。
患者さまの一つの参考になればと思います。
最後に、このブログをご覧いただいている方に強くお願いしたいのは、これはあくまで一、手術嫌いで今、日常生活は普通におくれている反復性の脱臼患者の鍼灸師のブログです。
脱臼が繰り返す場合、もしくは脱臼した直後にすすめるのは、まず医療機関にかかり正しい診断をつけることです。
まして、痛みがあったり、お仕事や競技でどうしても再度脱臼する恐れがある方や選手であればなおさらです。きちんとCT画像やMRIを撮影したうえで、手術が必要なのかどうなのかを肩専門医の判断を聞き、その上で最終的な自己の判断をしてください。実際に肩専門医の先生に手術を受けられ、外れない肩を手に入れた方が多くいらっしゃいます。
そのことだけはしっかりご理解いただいた上で、当院の凝りこだわった鍼治療を希望される方はまずはご相談からでも、お問い合わせください。
Higuchi