簡単に言うと、日常より「排便の回数が減ること」ですが、厳密に見ていくと以下のような分類になります。何回かに分けて少し専門的に見ていきたいと思います。
便秘の分類
1.慢性便秘
1)原発性(特発性)
a. 腹部単純X線などで結腸の病的拡張を認める:
・巨大結腸症(原因不明の結腸の拡張により,結腸内容物の輸送異常による便秘)、
・慢性偽性腸閉塞症、
・Hirschsprung病 など
b. 腹部単純X線などで結腸の病的拡張を認めない:
・慢性機能性便秘
2)続発性
a. 器質性:
・大腸癌(近年増加傾向)
b. 薬剤性:
・オピオイドや抗精神病薬によるのもの
c.全身疾患:
・全身性硬化症やアミロイドーシス,甲状腺機能低下症など
今回は一般の方にも起こる慢性機能性便秘についてもう少し掘り下げてみていこうと思います。
慢性機能性便秘について
➡結腸(=大腸)通過時間の異常と便排出障害の有無により 以下の3つの病態に分類できます。
Normal transit type(正常型),
Slow transit type (遅延型),
Outlet obstruction type (便排泄障害型)
機能性便秘において世界中で最も標準的基準とされているのは「ROME III診断基準」です。
先ほど3つに分けられた、機能性便秘における結腸通過時間(大腸をうんこが通過する時間)を考えた際、便がどのような形状だと通過しやすい理想的な便なのか?ということに着目する必要があります。
結論から言うと、「便が固いほど,また便が小さいほど排泄が難しくなる」とされており、逆に大きくて柔らかい便は容易に排出できるそうです。したがって機能性便秘になった場合の治療の基本は、大きくて適度な柔らかさを持った便を形成させることになります。(食事中の方ごめんなさい)
結腸通過時間の測定方法について、我が国では、便形状を患者に聞いてこの形状ならどれくらいの時間で通過するのか想定する、「Bristol便形状スコア(1~7)」を用いています.Bristolスコアでは結腸通過時間が長い(=便が固く小さい)ほどスコアは小さくなり,おおよその結腸通過時間と相関するという報告があります。
また患者さん自身の訴えを尊重する(主観的な)便秘スコア(CSS)というものも存在し、 1 週間あたりの排便回数や残便感,腹痛の頻度,排便に要する時間などの計 8 項目を 0~4 段階計 30 点で評価します。これもまた機能性便秘の病型鑑別に有用である(表 2―2)とされております.
さらに重症な患者さんの場合は、直腸肛門内圧検査やディフィコグラフィーなど直腸肛門機能検査に関しては実施可能施設が限定されているため、簡便なスコアを用いることが第一とされております。
ここまで便秘についていろいろ見てきましたが、これ以上になると盛りだくさんすぎるので、いったんここまでで区切りたいと思います。
また私、「便秘=食物繊維を取ればいい」という発想だったのですが、実は便秘の種類によっては大きな間違いの場合(食物繊維摂取で逆に症状悪化させる場合)もあります。
そのあたりも近々書いていきたいと思います。
Higuchi