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超音波ツボ探訪② 三陰交編

経穴名:三陰交(さんいんこう)

経絡:足の太陰脾経

 

局所解剖:

皮膚皮下組織長趾屈筋後脛骨筋長母趾屈筋

脛骨動・静脈

伏在神経の内側下腿皮枝、脛骨神経

(針灸学 経穴編より引用)

 

 

取穴(ツボの取り方):脛骨内側面の後縁で内果先端の直上3寸(4横指)に取る


取穴(ツボの取り方):脛骨内側面の後縁で内果先端の直上3寸(4横指)に取る。

三陰交はその名の通り、3つの陰経の経絡が交わっております。

 

3陰経:足の太陰脾経、足の厥陰肝経、足の少陰腎経)


 

 この経穴は冷え性や下痢、頭痛、全身倦怠、食欲不振といった症状に有効とされております。また、生理痛や月経不順、逆子に有効で別名「女三里」(前回紹介した万能穴の足三里の婦人科疾患版というところから)と呼ばれております。

運動器疾患としてはシンスプリントの痛みの好発部位と重なります。

これは本当か定かではないですが、過去に三陰交を使用し、中枢側に響かせることで堕胎をしていた鍼灸師もいたとか。専門学校時代の大ベテランのご年配先生がおっしゃっていた話で、三陰交を刺激してもだいたい響きは末梢側に出ることが多いので、何か達人の技だったのかもしれません。(ただの都市伝説かもしれませんが…。)

 

と、いうことで、では何故このポイントに刺すと上記症状に改善をもたらすのか?

「三陰交」のエコー像を見てみましょう。以下、足三里穴をプローブの中心において、下腿近位部を短軸で走査している所です。MRIの横断面の画像と合わせたものが次の画像です。


また次の2つの図は短軸像として抽出されたエコー像です。


 今回も神経に注目してみると伏在神経の内側下腿皮枝と脛骨神経が関与していることがわかります。伏在神経は元を辿れば、大腿神経の皮枝です。婦人科疾患(生理痛や月経不順さらに逆子など)に有効ということは三陰交付近の内側下腿皮枝に刺激を与えることが何らかの形で中枢側に伝わり何らかの影響を与えていることも可能性として考えられる??妄想の域は出ませんが…

 

上記のエコー像を見ていただくと、長趾屈筋の下に脛骨神経もあります。

この脛骨神経も知覚枝、運動枝ともに存在する神経なのですが、この神経への刺激はどちらかというと、下腿内側から足底にかけて(内側足底神経領域に)響くような刺激感が多いように感じます。こちらの刺激に関しては、腰部疾患の由来の神経症状(足底部のしびれを訴えている)の方に有効な場合を何例か経験しております。ただこの脛骨神経の知覚枝も何らかの形で中枢側に伝わり何らかの影響を与えていることも可能性として考えられる…?これまた妄想です。

 

むしろ神経云々ではなく、末梢の刺激によって上脊髄反射を引き起こし自律神経に影響を与えての諸々の反応なのかもしれないです。

 

また、最近エコーガイド下で注射で神経周囲膜の剥離を行っているお医者様がたくさんいらっしゃいますが、これはむしろ鍼刺入部位より末梢の神経障害に対して行っているもの、これが逆行性に刺激が伝わるのか??どうかは不明でございます(むしろその可能性は低そうですが…)

 

またまた掘れば掘るほど迷宮入りするエコー探訪。笑

 

さらに、運動器疾患的なことを考えると、この部位はシンスプリント(脛骨骨膜炎)としてよく痛みを訴える場所で、「後脛骨筋と脛骨の摩擦による骨膜の炎症」が原因であるとよく言いますが、このエコー像を見ていると、そもそも後脛骨筋がうまく滑走しなくなる原因として、横にいる長趾屈筋がかかわってそうな感じですね…。

 

特に最近整形外科で診察補助に入っていて、シンスプリントを訴えている患者さんを診ていて、足のアーチが低下して回内足になっている、学生さんがかなり多くなっている印象です。

 

治療の順序として、足関節のアライメント(回内足)の改善とともに足底にまで視野を伸ばして、長趾屈筋の滑走を改善してあげる必要がありそうです。そうすると今度は距骨の動きも気になってきて、長母趾屈筋も何とかしないと改善しないような感じ…。一つ一つ見ていくとどんどん深みにはまりそうな予感です笑。

それくらいシンスプリントというものは一筋縄ではいかない疾患と私は思っております。

ただその一つ一つをしっかり紐解いていけば症状を改善することは可能です!

 

 

三陰交のエコー像を見ていてここまで話が膨らむとは思いませんでした。

 

ふぃ~

 

相変わらず、まとめが難しいですね。

正直一つ一つの記事を書くのは中々おっくうです笑。

 

ただ得るものは非常に多い!

あと300数穴!

…何年かかるんだろう笑。

 

ピッチを上げて書いて積み上げていきたいと思います。

 

 

今回は「三陰交」を探訪いたしました。

 

こうご期待!…せずに気長にお待ちください。

 

Higuchi